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トランペットやバイオリン、その他のフレットや穴のない楽器を初心者が挑戦する時に一番の壁になるのが音程です。いつか身に付くと思いいつまでも身に付かない。一体全体誰がこの音程ってやつを決めたんだ!?と半ば切れ気味にいつか全面対決をする日が来ます。
Zur musikalischen Temperatur(邦題「音律について」)の中で、調律の問題点の中に次のような一節があります。
「cisから始めてcis-gis, gis-dis, dis-b, b-f, f-c, c-g, g-dの7つの5度を純正に、そしてまたオクターヴd-dを純正にとる。f-aの長3度を純正にとると、d-aの狭い5度が得られる。そこからまた純正の5度a-e, e-h, h-fisをとり、fis-fisのオクターブも純正にとる。最後のfis-cisは既にできているものをそのままにする。これが2つ目の狭い5度である。」
これはキルンベルガーさんという音律(音の並びを定義したもの、古今東西数限りなく存在)の世界では有名な方が本に書いていたことが引用されたものです。Circle of 5th(5度圏)でいうと7時にあたるC#/Dbから時計回りに進んで、2時にあたるDまでは純正5度。まずこの純正5度というのは平均律の5度とは違います。そしてこのDから次のAが狭い5度なんだそうで、同じように純正5度では取れないため、FからAを調律して、それから同じようにF#まで調律して、最後にもう一つの狭い5度、fis-cisが出来上がる、というような調律で簡単に出来上がる音律が紹介されているわけです。
もともとはこのように弦の長さの比率で音律と調律は密接につながっていたようです。だから響きが違います。現代では味わえなくなってしまった、真の響きや調和がそこにはあるそうです。ただ何にしても不便です。単純に移調ができません。弦でない楽器と調和しません。そこで猛烈な非難とともにその利便性で普及してきたのが平均律。1オクターブを12の半音で均等に分割した音律でした。残念ながらもうそこには何一つ真の響きや調和が存在しなくなってしまったのです。何よりひどいのが、もはや人間の耳では調律できないということでした。
そうです。つまり今日で言う「正確な音程」などというものは、分からなくて当たり前。それこそここ百年ぐらいでようやく合意の上で論理的に決定されてきた音の並びなんです。
そこで、ぜひ戯音鏡でやっていただきたいのが、好きな演奏を戯音鏡で見てみてほしいんです。一つ間違いないのは、その演奏者は「正確な音程」で演奏していないはずです。音は音高だけではありませんが、数セントから数十セントという微妙な音高を出し入れしてコントロールしているのが見えてきます。次に自分の演奏を見てみるとどうでしょう?まるでコントロールできていないのが見えませんか?
どちらも「正確な音程」ではありませんが、「正確なコントロール」という点で雲泥の差が出てきます。ですから、「正確な音程」に必要以上にこだわる必要は音楽的な観点からしたらあまりないと思いますが、イメージ通り演奏する「正確なコントロール」こそぜひ身につけたいものです。